
2025年4月5日(土)、6日(日)、料理家・堤人美さん、スタイリスト・佐々木カナコさんをお迎えして、春を五感で満喫する食のイベントを開催いたしました。
書籍やテレビなどで幅広く活躍されている堤さんは、シンプルながら素材を生かしたレシピに定評があり、また素材や調味料との掛け合わせも斬新で、味わう度にいつも驚きを与えてくれます。
今回、堤さんが、当イベントのために「春のお弁当」をテーマにしたこの日だけのコースを提案してくださいました。また料理に合わせ、佐々木カナコさんが福武家で守り継がれていた多彩な器をセレクトし、ご自身の素敵な器と組み合わせながら、テーブルコーディネート。さらに、春らしいパステルカラーのテーブルクロスをお手製いただき、会場となるFスタジオが春のように色づく空間に。


まずは、春まっさかりの園内へ。

イベントには、2日間で34名のお客様がご参加。岡山市内をはじめ、わざわざ県外から足をお運びいただいたお客様も。当日2日間は、穏やかな晴れ模様が広がり、『福武トレス』がある岡山市内ではあちこちで桜満開のお花見日和。園内でも、春の花々が咲き始め、参加者の皆様の目を楽しませていました。


最初に、オーナー・福武美津子より当園を立ち上げた思いをお客様へお伝えし、園内ツアーがスタート。日本の伝統建築と庭、そして現代建築が融合するこの特別な空間がどのように生まれたか、皆様真剣に耳を傾けておられました。

まずは、伝統的な数寄屋造りと小形研三氏による雑木の自然風庭園が愉しめるFサロンへ。主座敷にて、小滝を流れる水音に耳を傾けながら、庭の鑑賞をお楽しみいただきました。


続いて、Fギャラリーへ。全面ガラスの壁面と不等辺三角形を連結させた独特のフォルムが特徴の空間に驚きの声が。この時季は、葉が落ちた落葉樹と広葉樹の間から庭全体を望め、展示された美術品とともにゆっくりと鑑賞なさっていました。

お待ちかねのランチタイム。

本日の気になるコースは…
【五感で味わう「堤人美」の旬のごはん】
かご盛り10品
さや豆と皮付新じゃがのコロッケ
青のり風味の具だくさんがんも
ごぼうのバルサミコきんぴら
いかと野菜の季節の和え物
鯉の昆布〆(柑橘風味)
ローストビーフ(醤油麹とわさびで)
蕗とセロリ うど 文旦のサラダ
たらこと湯葉としし唐の卵焼き
筍の山椒煮
ひとくち大根もち
メイン 低温ローストポーク ふきのとうとハーブのタプナードソース
ごはん 桜おこわの蒸し寿司/白舞茸のお吸い物
デザート あんみつ風パフェ

まずは、かごに盛られたお弁当のように賑やかで、春がいっぱい詰まった10品に、感動の声が上がります。「春が消えないように」と、揚げや焼きは直前で行われたことで、繊細な香りがそのままに。お弁当らしい愉しさをと、この日のために佐々木さんが準備された籠にバナナの葉を敷き、多彩な10品が並びます。
例えば、「さや豆と皮付新じゃがのコロッケ」は、ひと口食べれば、さや豆のさわやかな香りが口いっぱいに広がる春の味。パルミジャーノで味付けし、しっかりしたコクも感じられます。
「蕗とセロリ うど 文旦のサラダ」は、素材の繊細な香りをそれぞれ生かしながら、ナンプラーのエスニックな風味が余韻を残します。春らしいフレッシュさも感じられる一品でした。
また、「ローストビーフ(醤油麹とわさびで)」も印象的な一品。堤さん自家製の醤油麹が独特の旨みを引き出し、わさびのぴりりとした味わいもアクセントに。かご盛り10品の隠れた主役のよう。

メインは「低温ローストポーク ふきのとうとハーブのタプナードソース」。ふきのとうとイタリアンパセリ、アーモンドなどを加えたソースは、独特の苦みがあり、それが約1時間半かけてじっくり火を入れたポークの旨みを引き出します。

「桜おこわの蒸し寿司」は、桜の花の塩漬けを塩抜きした際の水で炊いた一品。桜の繊細な香りをご飯がまとい、口の中で春がほどけていきます。

最後はお待ちかねのデザート「あんみつ風パフェ」。自家製の桃味白玉やあんこに、なんとクリームチーズの組み合わせ。さらに、寒天の代わりに炊いた白きくらげがベースに。まろやかな甘みととろりとした食感がたまりませんでした。
コース全体を通して、食材の組み合わせにお客様からも驚きの声が多く、堤さんの創造性に改めて感心されていたご様子。堤さんが大切にしておられる旨み・甘み・酸味に香りを乗せた繊細な表現が、心に残るひとときでした。


会の途中では、オーナー・福武と堤さんがお客様と会話を交わし、なごやかな雰囲気に。中には、堤さんのファンの方もおられ、堤さんの料理を直接味わえる機会をとても喜ばれていました。

当日は、京都のクラフトビール「nude Beer」やオーストリアのスパークリングロゼなど、珍しいドリンクもご提供させていただき、皆様料理とのペアリングを愉しんでいただけたようです。

最後に、福武より今回ご参加いただいたお客様、そして堤さん、佐々木さんへ感謝の言葉が。改めて、堤さん・佐々木さんの料理と空間作りの素晴らしさに御礼をお伝えするともに、お客様には「今後も『福武トレス』という空間を親しんでいただきたい」と思いを述べさせていただきました。
ご参加いただいた皆様には、この機会に『福武トレス』に親しみいただき、今後もぜひお気軽にご来園いただければと思います。本当にありがとうございました。
今後も、堤さん・佐々木さんのお二方をお招きした食事会をはじめ、ここにしかない空間と食を楽しめるイベントを随時開催してまいります。
これからの『福武トレス』にどうぞご期待ください。





